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さらに深くコーヒーミルのメカニズム 
 手間を掛けてコーヒー豆を挽く・・・挽きたてだから美味しい。
そんなつもり(一部ではインテリアとして買われる方もいらっしゃいますが)で購入し た。
と、思います。
でも実はお店の業務用のミル(手入れがよいモノ)で挽いてもらった方が挽いてから時間
が経っていても遙かに良い場合があります。
その原因は“元々、ミルの性能が悪い”“手入れが悪い”“挽き方が悪い”の3つが主
な要因として考えられます。
ミルの性能が悪い
 プロペラ回転式と呼ばれる電動式のモノは手軽に挽けてよく販売されているところを見
ます。しかし、このメカニズムはコーヒー抽出に適さない摩擦熱を多く発生して、メッシ
ュ(粒度)が揃わすに、微粉も非常に多量に出ます。
また、カッティング/グラインディング方式でも開発、設計に無理があり十分な性能がな
いモノや仕上がりが悪く性能を発揮できないモノが多く見受けられます。
手入れが悪い
 使用している間にミルの各所、特に歯の隙間に古い粉が蓄積されてしまいます。
新しく挽いた粉と接触し酸化した味や香りを移します。
せっかくの新鮮な豆もこれでは台無しです。
また、長年使ったミルは歯が摩耗しています。特に焙煎が浅く、堅い豆を挽くとすぐに痛
んでしまいます。
このようなミルでは微粉が多くなり、メッシュも揃いません。

挽き方が悪い

時間が無くて力いっぱいハンドルを回していませんか?

余分な力を掛けると、摩擦熱が沢山発生し味・香りともに劣化を引き起こします。
 以上の様な間違ったミルの選択・使い方をしていませんか?
良い挽き方とは
 コーヒーの持っている良質な味を壊さずそのまま抽出する為の挽き方とはいったいど
様なモノでしょうか?
摩擦熱を抑る”“微粉を出さない”“メッシュを揃えるこの3項目が重要です。
この3項目を逆の観点から見てみましょう。
摩擦熱が加わるとコーヒーにどの様な影響を及ぼすか
 熱が加わると言うことは酸化を引き起こしたり、変質を起こさせます。
初めて使った天ぷら油で揚げたモノと、一度使った(焼き冷ました)天ぷら油で揚げたモ
ノとでは味も香りも異質のモノと感じます。
コーヒー豆は始め焙煎という加熱加工工程を経ています。
その製品からなるべく加熱加工を加えずに抽出液にして飲用する事が望ましいと言うこ
とになります。
焙煎を含め、挽く”“淹れると言う行程で必要以上に熱を加えると、酸化を引き起こし
たり、変質を起こし本来の味が消失したり変質したりしてしまいます。
摩擦熱発生のメカニズム
 鋭利な刃物は力を掛けずに切ることが出来ます。使っているうちに刃先が乱れて、切
れ味が落ち大きな力を加えなければ切れなくなってしまいます。
さらに歯をつける前のモノ(全く研いでいない状態)では切っているというより、“押し割っ
たり”“摩擦熱で切るモノの結合を軟弱化させ分断”しています。
刃先がより鈍いモノは沢山の力を加え、更には押したり引いたりする回数も増えてゆき
ます。
切るのに使った運動エネルギー以外の余分な運動エネルギーは熱に変換されてしまい
ます。
この熱エネルギーが摩擦熱です。
 乾布摩擦に使う手拭いは綿製のざらざらした生地が向いています。
表面がツルツルで、皮膚の上を滑るような生地ではエネルギーが表面を移動する運動
にほとんど使われて余分なエネルギーがありません。=あまり発熱しません。
ざらざらした生地は移動しようとする方向とは逆方向に動かさないようにする力(抵抗)
が働きます。
これは移動に必要のない運動エネルギーで、熱に変換され暖かくなります。
直接の作業に関わりのない余分な力(運動エネルギー)が熱エネルギーに変換されるこ
とが摩擦熱発生のメカニズムです。
微粉が多くなるとコーヒーにどの様な影響を及ぼすか
 ペーパードリップの場合は濾紙の目をふさぎ抽出時間が非常長くなります。
ひどいときにはほとんど濾過されなくなります。
抽出オーバーは成分が出過ぎて雑味を引き起こします。
 他の抽出方法ではフィルターを通過して抽出液に混じってしまいます。
濁りを伴い、抽出終了時点でも成分が出過ぎて雑味を引き起こしています。更に時間経
過と共に酸化・変質を伴います。
メッシュが揃わないとコーヒーにどの様な影響を及ぼすのか
 抽出方法それぞれには適切な粒度が有ります。
粒の大きさはお湯が内部に浸透する時間と内部から成分が出てくる時間に影響を及ぼ
しています。当然、大きければ大きいほど時間が掛かります。
大きさがまちまちだと小さいモノは成分が出過ぎて雑味を伴い、大きいモノは成分が出
きらずに抽出を終えるので、水っぽく、味気ない割には雑味が多いコーヒーとなってしま
います。
また、ドリップは重力濾過抽出なので小さい粒が多いと大きな抵抗になり抽出時間が長
くなってしまいます。これも雑味の多いコーヒーとなってしまいます。
摩擦熱を抑えるメカニズム/微粉を抑えるメカニズム
 ミルには大別してグラインディング式とカッティング式の2種類の方式があります。
グラインディング式は臼歯と呼ばれる鈍角な刃が付いて磨り潰す粉砕方式です。
カッティング式は鋭利な刃が付いて切り刻む切断方式です。
切断より磨り潰す方が力を多く必要とします。
摩擦熱はカッティング式の方が抑えることが出来ます。
挽くときには力を掛けずにスムーズに回し、余分な力=摩擦熱を抑えます。
 微粉が少ないのもカッティング式の良いところです。
金槌で叩きつぶして粉にするより、包丁で切り刻んだ方が微粉が出ないのは想像に難く
ないと思います。
臼歯の丸い刃が豆に当たって砕くより、カッティングの鋭い刃がシャープに刻んだ方が
微粉が出ません。
メッシュの不揃いを揃えるメカニズム
 “ブレードの口径を大きくする”“シャフトのブレをなくす
長い行程を使って(徐々に)メッシュを揃えた方が均一になるのは当然です。
シャフトは支えている部分とのクリアランス(隙間)がより小さい方が正確に回転します。
また、ブレードの製造精度や取り付けの精度によって、ハンドル1回転するうちにインナ
ーとアウターの隙間が変わるようではやはり均一に挽くことが出来ません。
さらに空の回しの時に正確に回転しても、豆を挽くときにはシャフトをねじ曲げようとする
力が働き剛性がなければ変心を起こしてしまいます。
ですから、単に口径を大きくしたので有ればシャフトに掛かる負担が増え過ぎ(てこの
原理・動輪)変心を起こしてしまいます。
口径を大きくすると当時に、常にインナーとアウターブレードの中心線が同一線上にある
よう精度・強度を確保しなければなません。
 メッシュを揃えるのにはカッティングよりグラインディングの方に分がありますが、微粉
が出るので細かい網で篩う必要があります。
理想のミルは
カッティング式のブレードが大径のシャフト部の堅牢なモノ。
やっぱり高額になっちゃいますね!

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