コーヒープレスの巻き

器具について

 このマニュアルは“コーヒープレスを用いて良質な香味だけを抽出できるか”と、言う 観
点から作成し ています。
確かにこの器具ならではの手軽さも魅力の1つではあります。 反面、最大の欠点である
濾過不全を放置してしまうと、悪い香味成分が際だち、良質な成分が陰に隠れてしまい
ます。
この最大の欠点を克服することによって、ドリップとはひと味違った爽快な風味に仕 上
げ、サイフォンで は苦手な低温抽出、ましてや水出しコーヒーまでも比較的簡単に淹れ
ることが出来ます。
 尚、コーヒープレスに対して書かれた一般的な抽出マニュアルは全く無視して作成し て
います。
前記に示したように、この器具使用を前提に抽出テスト&テースティングを繰り返し行っ
た結果から、温度・時間・行程などのすべてを算出しています。
このテキストの内容と他の抽出マニュアルの部分部分を繋げてしまったような淹れ方 で
は良いコーヒーを 望むことは不可能だと思ってください。
良質な香味を抽出したいのであれば、このテキストの記述内容を忠実に実行してくだ さ
い。
 さて、このように粉をつけ込んで抽出する方法はサイフォンの抽出行程と全く同様に 行
います。
細挽きの粉を使い抽出時間を1〜2分に設定します。
粉を粗くして行くと抽出時間を長くしていかなければ適度な濃度になりません。
しかし、長時間の抽出は豆(粉)に残したい、いやな香味までもとけ込ませてしまします。

粗挽きの設定は、メッシュフィルター通り抜けてしまう粉を出来上がりのコーヒーに少し

でも抑えたい事や作業性の単純化をねらったモノですが、いくら粗挽きの粉を使っても
やはり微粉の混入は避けられません。
 粉の投入(水出し以外)はビーカーにお湯を注いでから行います。
 お湯との接触を乱雑に行うと雑味を引き起こします。ビーカーに溜まるお湯の分子の運
動が均一化されてからが、より望ましい抽出条件となります。
 攪拌は粉の投入時とプレスを行う前の2回行ないます。特に後の攪拌では粉の周りに
にじみ出てきている成分をお湯にしっかりと混ぜ合わせる作業です。
いい加減な攪拌ではシャバシャバっとしたコクのない コーヒーになります。
メッシュフルターを通り抜ける粉の問題は、ハーモニーオリジナルの専用ネルフィルター
によって克服出 来ました。 この抽出方法では絶対不可欠なグッズです。
ご用意下さい。

必要なグッズ

 
コーヒープレス

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あると便利なグッズ

 
 
  専用フィルターの取り扱い
 
 フィルターはボダム社のモノを基準に作っていますが、熱による縮を考慮し、大きく作
っています。
ペーパーフィルターのような目の細かい薄いモノではフィールターを通らずに、ビーカー
とフィルタ ーのわずかな隙間を通過してしまい濾過不全を起こします。
そのためアッパープレートのサイドをカバーするようなサイズに作っていますので、プレ
ス時の姿勢 やプレス後引き抜く時の方法にご注意下さい(内容後述)。
他社製品のモノはビーカーの内径7.5cmまでは10cmを10.5cmまでは13cmをご利
用下さい。
 新品時には糊が着いています。また目を詰めるため、下ろすときには鍋などで10分ほ 
ど煮沸して から使用してください。
使用後の保管はタッパなどの密閉容器に水道水を張り、中に入れて冷蔵庫で行ってく
ださい。
  1週間に1〜2度、煮沸消毒すると長くご愛用頂けます。
注意
 乾かしたり高温場所に放置すると油脂分などが酸化・腐敗やカビを生じさせる原因に
なります。
このようなモノで濾過するとコーヒーに香味が移ったり、目詰まりにより上手く濾すことが
出来なく なります。
交換時期
 コーヒーに異臭を感じたり、プレスの力を強くしなければ濾せなくなったときには、新し
いモノと 交換してください。

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材料について

 
お湯について
 思っている温度と実際の温度とには誤差があります。
“ガスの直火にかけたケトル。フタを開けてのぞいていると下から泡が上がってきまし
た。” この時点が沸騰ではありません。
大体92℃ぐらいから泡が増え始めます。
熱源・加熱器具やケトルなどの容器が変われば沸騰の現象も違って見えます。
また、別の容器に移したときの温度の下がり方は、季節によって違ったり、容器の容量
 ・材質でも違 ってきます。
 湯沸かし電気ポットの設定温度と出てくる湯温には違いがあります。
特に温度が高くなるほど違いが 大きく、更に、移し替えると温度は下がります。
95℃ぐらいかなと思っているお湯の温度が実は90℃を下回っている。
逆に、80℃まで下げた つもりのお湯が86〜7℃ある事は起こりがちな出来事です。
お湯の温度は抽出味と密接な関係があります。
更にコーヒー豆の成分は豆の種類や焙煎の仕方によってそれぞれに違いがあります。
湯温が5℃違えばコーヒーの味が全く異なる事があります。
  どのような抽出方法でも、重要なのは粉に接触しているときの温度です。
 理論上、ドリップでもプレスでも接触温度と時間を同一にすればほぼ同じ味のコーヒー
が出来上がるはずですが、テースティングしてみると、明らかに違う成分を抽出してい
ます。
これは理論的にはっきりしていませんが、行程抽出時間の違いによって生じるのではな
いかと思われ ます。
ドリップでは流下濾過によって常に違った香味成分を溶媒(お湯)に混ぜていますが、プ
レスなど のソーク(つけ込み式抽出方法)では抽出時間内に豆から出てきた成分のほ
とんどをお湯に混ぜてしまいます。
ですからドリップ時のケトル内の設定湯温とプレスのサーバー内の設定湯温には違い
があります。
左の表はプレスで抽出したコーヒーのテースティングに基づき作成したモノです。
 

推奨抽出温度  (サーバー内温度)

ロースト段階

湯温(℃)

シティー 95〜90
フル シティー  93〜88
フレンチ  91〜86
イタリアン  88〜83

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湯温はあくまでテースティングによって決定づけられます。
前回淹れたコーヒーが苦く感じられたときは湯温を低くします。
渋みが強く感じられたときには高く設定してください。
前述のように予想温度と実際の湯温と大きな誤差になるときがあります。
温度計をお持ちの方は、あらかじめビーカー内のお湯が何度ぐらいになるか測
定しておくと失敗が少なくなります。
 
コーヒー豆
適合焙煎深度 シティー〜イタリアンローストのモノ。
豆の個性がそのまま表される分、ストレートコーヒーを、しかも、個性の強いモノの方が
おもしろみがあるように思います。
挽き目は細挽。
1杯当たり10gを使います。
ボダム付属の計量カップは小さいので、必要なグッズの項に記載した目安をご参照の
上、計量してください。
  淹れ方
 
  ホット コーヒー
 お湯を沸かす
 プレスッサーユニットに専用フィルターを取り付ける
 杯数分の豆を計量し容器に入れる

 ポットにお湯を入れ、湯温を調節する。
 
 ⇒

 

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o 沸騰したお湯を注ぐと大体85〜90℃
 ぐらいにる。
o 95〜90℃の設定はあらかじめビーカ
 ーにお湯を入れて温め(お湯はケトル
 に戻す)、沸騰したお湯を注ぐ。
o 84℃以下まで下げるときには湯冷まし
 などの水を適量足す。
o 淹れる場所の温度環境や杯数によっ
 て違いがあります。
 
粉を入れ、スプーンで粉にお湯がなじむ程度そっと上から抑える
フタをして1分間待つ
スプーンで攪拌する
 
             
 
表面に浮いたアクと粉をすくい、捨てる
もう1度攪拌する(ポットの注ぎ口の部分に付着した粉はペーパータオルで拭いてお
  く)
プレッサーユニットをポットに装着する
 フィルターが完全にポット内に入ってからフタをして更にゆっくりと押し下げる
   
 プッシュボールを押し、シャフトをいっぱいに下げてから、30秒待つ
キャップの開口部と注ぎ口を合わせ、注ぎ分ける

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 プレス時の姿勢
 専用フィルターを装着するとビーカーとフィルターとの密着性や濾過抵抗が増し、プッシ
ュボールが 押しにく くなります。
体重がプレスする方の腕にしっかりと乗る姿勢で行うと、比較的楽に押し下げることが
出来ます。
左の3つの図の中から最適と思われる姿勢を選んでください。       答え
a,テーブルが高く、シャフトをささげても肘が曲がっている
b,シャフトを下げたとき、ほぼ腕が伸びきる
c, テーブルが高く、プレスを遠くに置き、前傾姿勢になっている

  水出し コールドコーヒー
サーバーに粉を入れ、水を注ぐ
     お湯と違って刺激性が少ないため、水を後から注ぎます。
    粉全体に水が染み込んでいれば、の行程は省きます。
スプーンなどで混ぜる
 ラップをして冷蔵庫で4〜8時間保管する 冷蔵庫から取り出し、以下ホット コーヒ
  ーの淹れ方のからと同手順
     *挽き立ての粉使用時のみの攪拌時に泡(アク)が浮き上がります。
  洗浄方法
  ビーカーからプレッサーユニットを外すときにはこつがあります。
  そのまま力任せに引き抜くとホルダーからビーカーがはずれてしまうので、次の要領
  で外します。
 プッシュボールとフタの間に親指・人差し指・中指の先をいれる
 フタの上からしっかり抑え、プッシュボール上まで引き上げ、プレッサーユニットを外
 
 フィルターに付着している粉を水道水でさっと流す
     フィルターが水に対して、直角に当たるとフィルターの中に粉が入り込もうとす
     るので、45°ぐらいの角度に当たるようにする。
プレスユニットを分解してフィルターを洗う
専用ネルフィルターを水を張った容器に入れ冷蔵庫で保管する

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