大は小を兼ねない/小は大を兼ねない

 ファッションの分野で、アイテムのそれぞれに最適なサイズを求めます。
柄や形がいくら気に入っても、自身のサイズと全く異なったモノを購入しようとは思わな
いはずです。
まあ、中には全く無頓着にそのオプションを選ぶ人がいるかもしれませんが、普通は身
につけていて、着心地が悪かったり、みっともないと感じるから最適なサイズを選択しま
す。
例外的には、その異サイズの着用にファッション性の価値観を見いだした(植え付けら
れた)時のみ、その選択をすること。と思います。
 では、コーヒー用品はどうしているでしょう。
特に、ドリッパーやネルフィルターに限ってサイズを調べると、大半は大は小を兼ねる。
と考え、MAXを想定したオプションを選んでいます。
逆に、ポットは筋力的な負担を感じるため、極力、小さめのモノを選択する傾向にあり
ます。
この2つのチョイスは、全く逆にしなければなりません。
フィルターに対して粉が少ない場合は、必ず、注ぎ口からの高低差が増します。
それは、衝突エネルギーの増大を意味します。
また、通常型ペーパードリップでは、下の方へ細長いコーヒー層を形成させます。
この様な層へどんな注ぎ方をしても、粉の全体から成分を引き出す流れを作ることが
出来ません。
よく、一杯分の抽出が難しい。と言われるのは、最適なサイズを選択していない(出来な
い)からなのです。
“選択が出来ない”としているのは、既製品がない為です。
実は、一般的な濃度の抽出の場合、
メーカー指定で1〜2杯とされている101相当のサイズが3杯分抽出に最適なのです。
円すい型の2〜3杯とされているサイズは4杯分に最適です。
そうです。1杯や2杯を上手に抽出できるサイズがないのです。
ですから、HAMONYではチューニングを行って最適化を図っているのです。
 ネルフィルターも同様に、粉の量に対して最適なサイズがありません。
また、その形状も理想のモノとはほど遠く感じます。
予め、お湯がフィルターの形状を認識して、その形状に沿った経路を浸透しようとする
事を期待する方が、おかしな話です。
フィルターは、流体の性質に沿った形状を提供して、お湯に浸透してもらえるように努め
なければなりません。
 では、ポット選択の間違いは、どんなところにあるのでしょうか。
まず“ポット容量=抽出量”と考えるのは問題です。
本体形状にもよりますが、80%入った水位が一番流量調節の効くところです。
容量ぎりぎりでは、大きく傾けなければならなくなり、コントロールの範囲を過ぎます。
抽出終了時、“ドリッパー内へ残す湯量”+“ポット内の残量30〜40%”のプラスアルファ
ーが必要です。
HARMONYでは銅ポット1.6Lを使っていますが、お湯が入ると2kgを超えます。
確かに、この重量は重く感じますが“コントロール”を最も重要な課題に挙げると、これ
にたどり着きました。
時に、FullBody typを10分超えた抽出を行いますが、腱鞘炎の傾向は未だありませ
ん。
勿論、私はマッチョで、日夜、筋トレに励んでいます。と言いたい訳ではありません。
このポット、Medium Bodyまででしたら、マネージャー(女性)も兼用使っています。
 そもそも、筋力的な負担を大きく感じるのは、手首の弱小な筋肉に頼っているところに
あります。
保持や大きな調節は強靱な上腕を使い、微調節を前腕に分担させることで大きく感じて
いた負担は軽減されます。
 扱い方を変えれば、今まで使いづらいと感じた容量のモノを、難なく使いこなすことが
可能になり、湯量コントロールの守備範囲は格段に向上します。
 フィルターやポットの異サイズ使用は、淹れている本人にとって“全く違和感を感じて
い”“少し淹れ辛いかな”と思っているだけかもしれません。
しかし、粉やお湯の方からの言い分は、“全然違う〜”と、叫んでいのです。

もし、その声に耳を貸したならば、出来上がってくる一杯が、\1,000-以上(実は現在、認

知されていないので価値換算が出来ない)になるモノが、そのまま使っていれば一生懸
命淹れても\200-程度のモノでしかない可能性もあります。