抽出カード作成の薦め

 焙煎に興味がある方はデーターを残す為の“焙煎カード”と言うのを聞いたことがあると思
います。
データを集めることによってより早く適切な方法を見つけられるのに役立ちます。
“抽出カード”と言う名称は初めて聞くでしょう。
これを記入することによって早く技術が身に付く様になります。
と 言うのも、いつも同じ手順で淹れている筈なのに毎回味が違う。なんて経験されたことが
あると思います。
でも実は全然条件が違っていたっていうことが多々あります。
抽出技術の向上は、いかに温度・時間を管理するかに掛かっています。
HARMONYでネル点てをするときは正確な抽出時間の管理をするために、一投目とインタ
ーバル時にカゥントを行っています。
 一人でデータを記入しながら淹れる事は困難だと思います。
抽出カードの上手な利用法は、設計図として予めどのくらいの時間で淹れるかを記入して
おきます。
カードに記入した注湯スピード・時間配分で抽出を行います。
計測は時計を使っても良いですが、時計を気にしながら淹れる事は気が散り、集中できな
いので頭の中でカゥントして行きます。

DRIP抽出カード  

     年  月  日  時刻   :       室温    ℃    
  BEANS       Maker      
 焙煎度合い 4 5 6 7 8  
  私的ランク A B C    WEIGHT    g(   cup)   MESH      

  DRIPER     Size       PAPER Maker     Size    

  NEL     Size    使用開始日  年  月  日

  湯温    ℃ (    cup)
時 間                              
                             
行 程                                
スピード                                
評 価 総合 香り 異臭 甘み 苦味 酸味 粘性 マイルド 渋み 雑味
 分後                    
 分後                    

カードの使い方

 BEANS・・・豆の種類   Maker・・・焙煎業者   
 焙煎度合い 4・・Hi Roast, 5・・City Roast, 6・・Full City Roast,
                     7・・French Roast, 8・・Italian Roast
 私的ランク・・・コーヒーは値段が高いモノが低いモノより必ず上等である と言うこと
         が言えません。
         客観で感じた味をランク付けして記入します。
 WEIGHT・・・豆の重量もしくは計量カップ数   MESH・・・挽き方(粗さ)
 DRIPER・・・ドリッパーの型番   Size 大きさ      
 PAPER・・・ペーパーフィルターの種類    Size大きさ
 NEL・・・・ネルの種類  Size 大きさ    使用開始日・・いつから使っているのか
 最近、器具の細分化が進み、同メーカーのモノでも形状やの違うモノが商品化されていま
す。
 見た目が同じようなモノであっても、お湯の通過スピードや方向が違って来るので味が違
います。
 データーとして残すのであれば、出来るだけ細かく正確に記入しておくと、どこで違ってい
たかがよく解ります。

記号の表記

SPEED

dripfed  (点滴)

10秒間に15 10秒間に20 10秒間に30

lineφ(お湯の太さ)

直径2mm 直径3mm 直径4mm 直径5mm
の目安・・・繋がるか繋がらないか糸状になる直前のスピード

Process (行程)

FSFirst Stage)1投目 INTInterval)12投間 SSSecond Stage)2投目
1週目 無注湯 1週目
2週目 CCenter) 中心

3週目

CCenter) 中心

SpStop) 抽出終了

4週目

CCenter) 中心

5週目
CCenter) 中心

 1投目の周回数は一定数の決まりがありません。

ドリッパー及びネルフィルターの形状や粉の量によって、コーヒーの粉の層が変化する為に
一投目のインターバルに入ってから約15秒後、コーヒーの粉の層にお湯が全体に行き渡
る程度の周回数に調節します。
おおよその目安は粉の量が12〜50gでは5〜7Lap程度の周回数になります。
尚、周回を重ねるごとに周回半径を小さくします。
カウントは3Lapが終了した時点から始め(それ以前はお湯のスピードさえしっかりと掴んで
いればあまり狂うことがありません。)ます。一投目終了まで続け、インターバル開始から終
了までをまた新たに開始します。

左図は粉の表面と層の行程距離を表したモノです。
緑線より内側は層の行程距離はほぼ一定になりますが、
外側に行くに従い行程距離が短くなって行きます。
行程距離の短い外周から注湯を始めるとすぐにフィルター
を突き抜けてサーバーに抽出液が落ちてしまいます。
行程が進むにつれて半径をつぼめたり、中心から注ぎ始
めるのはこのためです。
評 価
3〜5段階に分け、淹れた直後と、冷ました時と2回、客観で評価を記入して下さい。
冷ますと、熱いときには解らなかった成分を感じることが出来ます。
データーとは
色々な条件を一度に変更してしまうと、どこで違ってきたかがぼやけてしまいます。
条件を1つ変えたら他は条件はそのまま動かさずにどう変化したかを体感してください。
何度も繰り返すようにコーヒー豆は農産物です。
焙煎も保存状態によっても違います。
また、人間の味覚は個人差があり、一個人でもその時々によって変化をします。
出来る限り客観的な評価を記入してゆきますが、データーのすべてが正しいとも限りませ
ん。
最終的には淹れてみて微調整をして下さい。