陶磁器と珈琲カップの話
(そこが知りたい陶磁の知識)
  色々なコーヒーカップを見ていると様々な疑問が浮かんできます。
 書籍などで調べたり、人に聞いても統一性がありません?????
 立体のものを“上から見る”のと“横から見る”のと“斜めから見る”のでは同じモノを見
ているにも関わらず違う形に見えます。
 陶磁器の歴史や対象物自体についても色々な角度で書かれたり、話されたりしています。
 その中でハーモニーが感じた信憑性・妥当性を総合的に判断して掲示しています。
 すべての分野において、必ずしも正論とはいえませんので、ご了承下さい。

輸入(ヨーロッパ)洋食器と国産品(主に有田・伊万里焼)

 ヨーロッパ製は、全容量が120〜180cc位、当然デミタスは70〜100cc位になっています。
ちなみにティーカップは180〜240cc位です。
 冷めにくくするために空気に触れる面積を少なくした形になっています。しかし、厚手の陶器
より薄手の磁器の物がほとんどです。(イギリス製のほとんどはボーンチャイナと呼ばれる軟
質磁器。)
 日本の物は、全容量が160〜240cc位、デミタスで130〜150cc位。ティーカップと大き
さからの区別はつきません。
 形状は様々。素材も様々(陶器・焼き締め・磁器)。
 コーヒーの飲まれている歴史・飲み方の違いや焼き物が発達していく行程の違いが大き
かった為に思われます。
 ヨーロッパではコーヒーが17世紀後半にイスラム圏から伝わり18世紀には広く普及しま
した。当初の抽出はボイル式のターキッシュコーヒー(トルココーヒー)でした。
 後に、18世紀初頭にフランスでネルドリップが、19世紀初頭にイタリアではエスプレッソ
が、後半にはドイツでペーパードリップが開発されました。味はどれも濃い目の深い味わい
を楽しみます。
 図柄は華やかで、気分を楽しくさせる柄が多く見受けられます。  
 元々は中国や日本のモノを手本として作っていましたが、次第に独自の図柄を描くように
なりました。
 今でも、中国風(シノワズリー)や日本の古伊万里・柿右衛門様式を真似た図案が多
く残っていますが、手本にしたものと並べてみるとかなり違う雰囲気を持っています。
  一方、コーヒーが日本に伝わって来たのは江戸時代の長崎の出島だと言われてい
ますが、実際に普及したのは昭和に入ってから、しかも普通の家庭で飲まれるようにな
ったのは戦後になってからです。
 ヨーロッパよりアメリカの影響を多く受けています。いわゆるアメリカンと呼ばれている
もので、焙煎が浅めの豆を使いコーヒーも薄めのです。
カップもそれに合わせて大振りのやヨーロッパ製のティーカップをて使います。

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はみ出し  アメリカン コーヒー

 日本で、アメリカで飲まれているコーヒーの意味で使われます。
当然、アメリカにアメリカンコーヒーなるものはありません。
すべてがアメリカン(濃さや味は色々ありますが、場所から由来した名称として)だ
からです。
 移民時代に、ヨーロッパから渡った人々は裕福ではありませんでした。
ヨーロッパで楽しまれていたような深煎りのコーヒー豆は、ロースト時に水分の蒸発
による目減りが多過ぎるので、安いコーヒーにするために焙煎を浅くして目減りを
少なくしたのが、アメリカンコーヒーの始まりです。
  日本の器に対する考えの基盤には、やはり茶の湯が大きく影響していると思われます。
 
 “侘び寂び”と言った日本ならではの情緒から、風合いは気持ちが落ち着くモノを好
み、陶器製のものもかなりあります。

参考文献

タイトル 出版社 著 者 定価
マイセンへの道

東西陶磁交流史

東書選書 三杉隆敏

1500

Coffee or Tea Meissen 美術出版社

写真

南川三治郎

文 

大平雅巳

5800

ハンガリーの名窯

ヘレンド陶磁名品展

朝日新聞社文化企画局 大阪企画部(編集)
日本やきもの史入門 新潮社 矢部良明 1600
ヨーロッパ アンティーク カップ名鑑 実用之日本社 和田泰志 3502
器を訪ねる旅 MORE TRAVEL GUIDE BOOK 980
皿山なぜなぜ

有田陶磁史を歩く

有田町教育委員会(編集発行) 700
マイセン

秘宝に憑かれた男たち

集英社
ジャネット

・グリーソン

南條竹則
2205

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